株式会社LITALICO 取締役 中俣 博之|(前編)障害のない社会を作るには?デジタルとリアルの垣根を超えたLITALICOの挑戦

株式会社LITALICO 取締役 中俣 博之

株式会社LITALICOは「障害のない社会を作る」というビジョンを掲げ、障害のある方への就労支援サービスの「LITALICOワークス」や、発達障害の子どもを持つ家族をサポートするポータルサイト「LITALICO発達ナビ」など、リアル&ネットで複数事業を展開。デジタルとリアルの垣根を超えて社会課題を解決するための新規事業についても積極的に取り組んでいます。今回は取締役の中俣博之氏にご自身の経験や、サービス立ち上げの背景をお伺いしました。

 

 

ディー・エヌ・エーを29歳で辞めた理由

 

 中俣様のこれまでのご経歴をお聞かせください。

僕は昔から起業に興味がありました。それで、大学生のときに表参道で事務所を構えて事業を始めたんです。そのときは広告事業や販売代理業のようなことをやっていたのですが、なかなかしっくりこなくて……。実際にやってみて、自分で事業をやることの難しさを実感しました。

 

その経験もあって大学卒業後は就職しようと考えました。そこで、就職活動を頑張っている友達に「どこの会社がいいと思う?」と聞いたらコンサルティング会社の「マッキンゼー」と。でも、マッキンゼーに入社しても、「パートナー」と呼ばれる優秀な人たちと一緒にすぐに働けるわけではないんですよね。私は時間があまりなかったので、すぐ一番優秀な人と働きたくて、「マッキンゼー パートナー OB OG」で検索してみたら、南場智子さんが出てきて、その人が「ディー・エヌ・エー」という会社で働いていました。この人のもとで学んでみたいと思ったのです。

 

ディー・エヌ・エーでは大学生の頃からアルバイトさせてもらって、そのまま就職したので、約8年間働きました。趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)というシニア向けSNSを立ち上げたり、マーケティング全般を担当したり、採用をやったり、海外支社で経営企画をやったり。本当にいろいろやらせてもらいましたね。

 

 なぜディー・エヌ・エーからLITALICOへの転職を決めたのでしょうか?

ディー・エヌ・エーの仕事は順調だったのですが、30歳になる手前で「このままでいいのかな」と思っていました。このまま順調に出世していったら、簡単には辞められなくなるなと思って。結局、30歳を区切りにしてディー・エヌ・エーを辞めました。実は、僕には知的障害を持っている兄がいるので、いつか障害者の分野に貢献したいという気持ちがあったんです。

 

まずは障害者の分野で一番影響力のある会社に入ろうと考えて、調べた結果、LITALICOを見つけました。僕の中では規模が大きいことの他に、「株式会社」であることが転職先を選ぶ上で結構重要なポイントでした。実は株式会社で障害者支援をやっているところって少ないんですよ。株式会社なら優秀な人材を集められる仕組みもあるし、資金調達もいろいろな方法を考えられるので、規模を拡大できる。社会を変えるには、規模を持たないといけない。そういった理由もあって、NPO法人や社会福祉法人に入るより、同社を選びました。

 

大切にしたいのは「理念」と「解決へのプロセス設計」

 新規事業の立ち上げにあたって、重要視していることはありますか?

大事にしている考え方は2つあって、まずはその新規事業が、会社の理念やビジョンに沿っているか。LITALICOでは「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げているので、その軸をぶらさないのが大前提ですね。

 

そして2つ目は「戦略的であるか」どうかです。難しすぎる社会課題は、もちろん解決のデザインが難しく、必ずしも事業的解決に向かないものもあります。まず、事業的解決ができる社会課題から進めていきますので、その見極めが最も重要。

 

 LITALICOの「LITALICO発達ナビ」が生まれた背景をお聞かせください。

LITALICO発達ナビ」は発達障害の子どもを持った親御さんをサポートするインターネットサービスです。自分の子どもについて、少しでも発育が遅いと「もしかしたら学習障害かもしれない」とか、やたらと騒いだり暴れたりすると、「もしかしたら障害があるかも」とか、不安になることってよくあると思うんですよ。

 

でも、そういう親御さんたちをサポートするサービスって、ビックリするぐらい世の中にないんです。

それは、なぜなのか?シンプルに言うと、儲かりづらそうなんですよね。さらにマーケティングもしにくい。ただ、発達障害当事者は100万人以上いると言われていて、その周囲の方々も入れると300400万人ぐらいの規模になると予想されます。ターゲットが分散して存在しているのでイマイチビジネスにしにくいと思われていますが、ターゲットをまとめることができたら発達障害の子ども向けの教材や玩具、コンテンツなど、いくらでもそういうビジネスパートナーが増えていくと思うんですよね。さらにそこから、療育施設への人材ビジネスに発展していくとか、その施設に対して経営支援をしていくとか、ビジネスとしてやっていく方法は、いくらでもあるはずです。

 

LITALICOは障害のある方が働くのをサポートする「LITALICOワークス」や障害のある子どもが安心して学べる「LITALICOジュニア」などの施設を運営しています。しかし、地方までは網羅できていない。今すぐ日本全国にサービスを提供するにはインターネットしかない。そこで「LITALICO発達ナビ」を作ったんです。今後もインターネットを使って愚直にチャレンジしていきたいと思っています。

 

中俣博之氏インタビュー、後編記事はこちら

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