キュービック 世一英仁 | (前編)10周年を機にCIを一新!「ヒト・ファースト」の経営理念にたどり着くまで

株式会社キュービック 代表取締役 世一英仁

2016年10月24日で10周年を迎えた株式会社キュービック。10周年を機に経営理念、ミッション、クレド、そして社名やロゴといったコーポレートアイデンティティ(CI)を一新しました。CIという重要なものを、なぜこのタイミングで一新したのか、そのプロセスではどのような困難があったのかなど、同社の世一社長にお伺いしました。

  

勉強代の捻出目的で始めた仕事が、人生の中心へ

 —— 世一社長のご経歴を教えてください。

  もともと僕は弁護士を目指していたので、学習塾の非常勤講師のアルバイトをしながら、司法試験の勉強をするという日々を送っていました。法律の勉強は教科書1冊が3,000円~5,000円もするようなお金がかかるものです。実家暮らしではありましたが、勉強代が捻出できず、時間がもったいないと思いながらアルバイトをしていました。そこで始めたのが、自宅でできるwebの仕事でした。

 

 当初はアルバイトの代わりになればと思っていましたが、webの世界ではやればやるほど結果が出るのが面白くて、次第に先の見えない勉強よりも仕事にのめり込むようになっていきました。そして、司法試験の勉強をやめてそのまま起業しました。

  

 —— その時の広告メディア事業が現在の事業に結びついているのですよね。改めて御社の事業内用を教えてください。

 弊社は、「自社メディア型」のデジタルマーケティング事業を行っています。通常はデジタルマーケティングやwebプロモーションというと、SEOやリスティング広告運用の受託を行うケースが多いと思いますが、弊社の場合は自社メディアの媒体価値を高め、そこからクライアントのサイトに新規顧客を送客するという「成果報酬型」のビジネスモデルです。

 

 現在、運営しているメディア数は13サイトほど。中でも最もPV数が多いのは、2012年に元看護師の女性社員が立ち上げた「看護師のための求人比較サイト『ココナス』」です。ココナスは看護師の転職支援を行う人材会社から広告費をいただいて運営しています。

 

 その他には、脱毛サロンを広告主とした「日本最大級の脱毛口コミサイト『エピカワ』」、「太イイ”を楽しむまとめサイト『qooneLL(クーネル)』」などがあります。

  

会社の拡大とともに問われるようになった「経営理念」

  —— 立ち上げの際にはスタートアップやベンチャーのような、明確なビジョンやミッションがあったわけではないということでしょうか。

  そうですね。僕の「起業」は「独立」に近かったかもしれません。事業は黒字で収益も上げ続けることができていましたが、「新しいものを生み出したい」、「世界を変えたい」という崇高なビジョンはおろか、会社を大きくしたいかどうかもあまり考えてはいませんでした。

 

 それでも、事業は上手くいっていましたし、メンバーも知人を中心に少しずつ集めることができました。しかし、規模が大きくなるにつれ、徐々にこの「ビジョン不在」が様々な問題を引き起こしていきます。例えば、会社の方向性が定まっていないので、現場メンバーに意思決定をできないこと。意思決定の機会がなければ、従業員は仕事を通じて成長していくことができません。また、採用の現場でも「会社の競争優位性は?」、「マーケットをどう読んでいるのか」、「将来の事業展開について」などの質問をたくさん受けて、このままではいけないと考えるようになりました。

 

  —— 一方、事業は順調に成長して2016年10月で10周年ですよね。理念やビジョンが明文化されるまでは、何が会社の中心でしたか。

 とにかく、みんな会社が大好きでした(笑)。そして、明文化はされていませんでしたが、キュービックには大事な理念がずっとあったように思います。今はクレドとして「ONA-KAMA」や「PLAY MORE!」という形で明文化されていますが、人柄重視の採用や個性を尊重したマネジメント、短期的な目先の業績を追いかけるよりも仕事を楽しむことを大切にする文化がもともとありました。インターン・社会人問わず、素直で向上心のあるメンバーが揃っていることもこのカルチャーの醸成を促進したのだと思います。

 

 また、一つの大きなメディアをみんなで運営するのではなく、中小規模のメディアが複数あるため、一人ひとりの裁量が大きく、仕事にやりがいを持ちやすかったというのもよかったのかもしれません。とにかく自分の裁量で行った施策が、目に見える効果を生む。うまくいかない時期も自分の仕事の結果だから納得がいくし、なんとかしようと本気で思える。自分がどう組織に貢献できているか、少しずつでも成長できているかといった問いに、答えられるだけの経験は当時でも積ませてあげることができていたように思います。 

 

  —— そんな中、エナジャイズさんに相談するに至ったのはどんなキッカケがあったのでしょうか。

 生嶋さんと初めてお会いし、会社の課題を相談したのが大きなキッカケでした。相談していくうちに、一つひとつの問題が結局は会社の軸となる理念やビジョンが共有されていないことから派生していることが明確になっていきました。

 

 当時は採用に本腰を入れ始めたところで、採用媒体経由で多くの人がジョインしてくれたタイミングでもありました。

 実は、それまでのキュービックは、ほとんどのメンバーが仕事の悩みを語り合う飲み仲間や、取引先で一緒に働いた方などで構成されている、いわゆるリファラル採用を行っていました。インターンも僕のかつての塾講師時代の生徒やその友人、後輩、そしてその紹介で、インターンからそのまま新卒入社してくれる子もいます。

 

 リファラルで集まったメンバーは、「世一と働くこと」が軸になっているため、明文化された理念やビジョンが必要になることはほとんどありませんでした。しかし、採用を強化し、リファラル以外のところから人材を集め始めると、やはりそうはいかない。「世一と働くこと」以外の明文化された理念・ビジョンの必要性を痛感する場面がどんどん増えていきました。

 

 ちょうど翌年には10周年を迎えるということも重なり、次の10年を描けるビジョンが欲しいということになったんです。また、会社としての業績目標について、年商50億や100億じゃ中途半端だ、やるなら1,000億円やろうぜ!という機運が持ち上がったのもこの頃ですね。

 

 エナジャイズさんには理念やビジョンを作り上げるノウハウがあるということで、ぜひ一緒に取り組んでほしいとお願いしました。

  

ビジョン構築プロジェクトが発足。メンバーには入社間もない新人や、インターンも!?

   —— 理念やビジョンを作るプロジェクトでは、メンバーをどのように決めましたか。

  まずは僕を含めた10名のメンバーでプロジェクトを発足しました。このようなプロジェクトではメンバー集めは古株や幹部を中心とする会社が多いようですが、弊社の場合はここに入社間もない新人を2名加え、しかもこの2名にプロジェクトリーダーを任せることにしました。また、当時内定者だったインターンもアサインしています。

 それは、とにかくこの経営理念やコーポレートビジョンが、プロジェクトメンバー以外の社員には受け入れられない・浸透させられずシラケてしまうというのが最も怖い事態だからです。そこで社歴やポジション、職種などをある程度分散させ、従業員のみんながどんな想いで働いているのかを、可能な限り多角的に吸い上げられるメンバーを選びました。

 

   —— 「経営理念」は「経営者=社長の理念」というイメージがあるので、プロジェクトメンバーが集まって決めるというのは珍しいのではないでしょうか。

  確かに、最終的にでき上がったものは、結局は僕が大事にしてきたことを言語化した内容ですが、僕一人でひねり出すことは難しかったと思います。

 

 先程お話した通り、言語化されたものはなくても、当時のキュービックには「文化」や「習慣」が存在していて、そこには僕という経営者のパーソナリティが多分に反映されています。例えば、顧客との関係の作り方、メディア作りの際に大切にすること、競合に勝てた理由、他の会社と違うルールや制度、禁止行為や推奨行動などは、経営者が僕でなければ全く違ったものになっていたはずです。

 

 今回のプロジェクトでは、経営理念やビジョンを作る、明文化するという所作は「産み出す」のではなく「見つける」ということを教わりました。すでに存在しているものをあぶり出して言語化するにあたり、キュービックという会社の輪郭を形取る弊社のメンバーの参加は不可欠で、僕自身もこのプロジェクトを経て貴重な経験をたくさんしました。

 

 世一英仁氏インタビュー、後編記事はこちら 

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